硬直した産業構造を打ち砕き、地方に活気と希望を!福岡発ITユニコーン企業を目指して

硬直した産業構造を打ち砕き、地方に活気と希望を!福岡発ITユニコーン企業を目指して

otonariアプリ

2022.08.18

スマホアプリというと、東京の企業というイメージが強いが、福岡発の九州で今急速に注目を集めているアプリがある。
東京のマーケティングIT企業、株式会社マーケティングアプリケーションズ(現在は株式会社otonari)が新しい大手消費財メーカー向けマーケティングとして発明した、otonariアプリだ。
2019年9月、同社の代表である萩野郁夫が福岡市のある大手居酒屋チェーンの社長に売り込み、社長の二つ返事で記念すべき加盟店(otonariアンバサダー)1号店が誕生した。

 

製品の広告、ブランディングしたい消費財メーカーと、無料でサンプルを配りたい加盟店(飲食店、美容室など街のお店)をマッチングする新しいアプリベースのプラットフォームとして、福岡市からスタートした。現在は沖縄離島を除く、九州地方全域に拡大中である。

加盟店(アンバサダー)はコスト負担などなく、Webから申し込む事で簡単に登録することができる。
大手食品メーカーのお菓子や日用品などが、無料でお店に来店してきたお客にプレゼントすることができ、集客にそしてお客の満足度向上につながるとあって、その評判は九州中に口コミを通じて広がっていった。

<2022年7月末時点> ※いずれも九州地方

 加盟店数 27,245店
ユーザー数 864,097人

 

2019年後半といえば、その後2020年から始まった世界的なパンデミック ”コロナウイルス” が直撃する直前だ。
otonari代表の萩野氏によれば、2019年年末にいくつかイベントに出展しユーザーや加盟店とのコミュニケーションの中でわずかな手応を掴んだ矢先のコロナパニックだったそうだ。
当時、2020年4月に初の国家緊急事態宣言が発令され、そもそも街のお店で物理的に接触を前提とするこのotonariアプリも一時運営休止の判断を迫られるほどであった。
当然、新規加盟店の獲得の営業活動等も停止し、わずかながらのアプリ運用を続けるしか無い状態に陥った。

緊急事態宣言や蔓延防止措置などが、最初に明確に解除された2020年の11月頃から本格的に福岡エリアでのTVCMのスタート、また福岡市の一大イベントであるクリスマスマーケット天神2020に初めて冠スポンサーとして登場した。

ここでのプロモーション戦略がotonari拡大の契機だったと萩野は振り返る。

左:放映されたTVCM、右:クリスマスマーケット天神会場

 

加盟店からの評判も非常に高い。
北九州にある「お酒のひだ」さんにインタビューした。

「酒屋であるウチは助成金ももらえず、コロナで客足が減り売上が下がって困っていました。そんな中、otonariをはじめたところサンプルを貰いに来たお客さんが、次第にお店の商品を買ってくださる方も出てきたんです。また、これまであまりウチにいらっしゃらなかった20, 30代の方も来てくれるようになりとても嬉しいです!」

とotonariによって集客の一助になっているとのことだった。
また、他にも「お客さんとのコミュニケーションがotonari を機会に増えた」、「otonariでもらえるのをいつも楽しみにしてくれる」などの加盟店からの喜びの声が多数上がっているとの事。

YouTubeチャンネル 「otonari TV お酒のひださん編」より

 

この様に、加盟店やユーザーからの評判はとても良いが、そもそも運営会社は無料でサンプルを配り続けて、本当に成り立つのだろうか?

otonariを運営する(株)otonariによると、昨今の広告メディアの潮流の大きな変化にポイントがあるという。

元々大手の食品やお菓子、飲料などのメーカーは、その広告宣伝のほとんどをTVCMに依存してきた。
現在でもテレビをつけると大手メーカーのCMを見ることができる。が、そのTVCMの効果はその昔お茶の間でみんなでテレビを見ていた30〜40年前と今ではまるで状況が違う。
恐らく、視聴率などのテレビを見ている人の量もそうだが、その影響力、質的な効果も昔とは格段に下がってきている。
そしてそのダウントレンドは日増しに進行している。

一方で、マーケットの状況に少し目を向けてみると、一つ注目すべきブランドが目につく。
エナジードリンク「モンスターエナジー」である。
レッドオーシャンで、大手各社が悪戦苦闘する中、後発で一大ブランドとなった「モンスターエナジー」。
そのマーケティング手法は独特であり、CMやその他マス広告は一切使わない、そしてその代わりに街の繁華街で徹底的な製品サンプリングを行うというものである。

https://www.monsterenergy.com/jp/ja/about-us

モンスターエナジー vs レッドブル

 

これからの大手消費財メーカーの広告宣伝手法は、街でのサンプリングが主軸となる。
特に、現代は何でも「1度無料で試せる」 のがあたりまえの社会。
旧来的なCMなどでいくら”視覚” ”聴覚”に訴えられてもほとんど効果は薄く、この様な飲料や食品は1度口にするのが圧倒的に重要であるはず。
otonariの関係者は口を揃えて主張する。

「最初は懐疑的だったり、面白がる程度だった大手メーカー担当者さまも、我々の拡大とともにどんどんその実用化を検討はじめています。」

代表萩野も手応えを感じている。
いずれは、街のあらゆるお店で日用品のサンプルが色々と無料でもらえるような社会の景色に変える、と意気込みを語る。

また、このアプリは前述したとおり、街のお店やお客さんのコミュニケーション活性化し、その他これまでには無かった新しい繋がりをスマホ1つで実現する、社会アプリでもある。

今後は、大手メーカーのサンプルを受け取るだけはなく、街の安心安全に関することや、その他公共の大事な情報を提供するプラットフォームとしても進化させて行くとの事。

2020年12月、福岡市高島市長の定例記者会見にて福祉関連の共同事業を発表

 

2022年8月には、九州唯一の社会人アメリカンフットボールチーム、福岡 SUNS のメインスポンサーに就任。
九州で大きなユーザー基盤を持つotonariの力を使って、otonari福岡SUNSとしてファン拡大を図り、福岡、九州をより豊かで希望のある街に変えていくとの事。

他にも、九州で活躍する若手ミュージシャンやダンスチームをとりあげたYouTubeチャンネル「otonariエンタメチャンネル」など、社会におけるさまざまな活動を通じて九州を盛り上げる。

スタートアップシティを宣言する、この福岡の街を震源地として、新しいビジネス、新しいスポーツのあり方、これからの新しい社会にそのロールモデルとなるべくotonariはこれからも進化していく。
豊かで希望のある未来の日本を作り出すべく是非otonariの今後に期待したい。

2022年8月、otonari福岡SUNS メインスポンサー就任の記者発表会