2022年8月、九州の未来を輝かせるべく創立された新清涼飲料ブランド PLEIADES (プレアデス) のブランドプロモーションムービーが関係者によって制作された。その制作で総合監督として指揮をとった橘潤輝監督と、ムービー内で主題となるアーティストが描くアートを提供してくれた山口知咲さんにその舞台裏を伺った。
橘 潤樹 Junki Tachibana32歳。福岡市生まれ。
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山口知咲 Chisaki Yamaguchi21歳。佐賀県生まれ。佐賀県在住。
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ー 今回のムービー制作依頼を受けた時の想いを教えて下さい。
橘:
若者がテーマということを聞いて、僕もディレクターとしてはまだ若い年代だと思うので、そういう部分で若い人の気持ちをダイレクトに表現を求められているんだなと思いました。若者を応援する、九州を応援するというPLEIADES のブランドコンセプトに沿って何ができるかを考えましたね。
最初このブランドのビジネスモデルというか拡大戦略を聞いて、これが本当に九州中に広がるととても社会にとって良いことだなと感じました。なのでそこに当事者として参加できるのはすごく嬉しいかったですね。これで九州が変わっていくといいなと思いました。
これまでは、みんな東京に行かないと何も出来ないという感じだったのが、デジタル化が進む中で福岡にいようがどこの地方にいようが、何にでもなれるという時代に変わってきていると思うんです。
これからは地方に価値が出てくる時代。
そんな中、このPLEIADESはそれをまさしく体現していると思ったし、みんながこの思想に参加してしてくれればとても面白い事になるなと思って。とてもワクワクしたし、興奮しましたね。
山口:
以前在学していた短大の先生から依頼を受けて、絵コンテを見た時に、若者の希望や未来をテーマにているというところにとても共感するところが多く、受けてみようと思いました。私自身も初めてこんな大きい作品を描いたり、映像制作にも初めて関わることができたので、私自身にとってもとてもいい経験になりました。
でも気持ちとしてはすごく怖いなとも感じましたね。
今までは自分のために絵を描いていたんですが、今回は映像の中にいる美大生の気持ちになって作品を描かなければと思ったので。そういう事は初めてだったし実際に映像作品の中に絵がどのように映るかということも不安だったので、いろいろ悩みながら研究しながら作品を描きました。
特に主人公の美大生が迷いながら葛藤しながら、でも絵が好き、という気持ちが自分もとても重なる部分がありましたね。
ー制作の現場で大変だったことを教えて下さい。
橘:
大変だったこと…沢山ありましたね…(苦笑)
まず、通常の企業CMだと商品やサービスを押し出す事があたり前だけど、今回はブランドロゴしか出さないという方針に正直びっくりしましたね。でも、そのブランドロゴだけで見せるというところに逆に色々戦略を練ってやりました。
あとはクライアントのコンセプトと自分の考えを擦り合わせる部分は、前段階でとても大変な作業でしたね。映像の軸となる、若者の葛藤だったり感情だったりをどうやって表現するかを考えたときに、性別だったり年齢だったりどのような俳優さんをセレクトするべきか?一番頭を悩ませました。
それで企画の段階で描いているタレントのイメージはあったのですが、実際に120%当てはまる人がいるわけでは無いので、実際に決定したキャストの皆さんに、撮影中に彼らのいいところをどうやって引き出せるかをいつも考えて、コミュニケーションをとっていました。結果として、彼ら彼女らも撮影を進めていく中で、成長していってくれたり変化して行くのを見て取れたのは嬉しかったです。
撮影もかなりこだわりました。撮影のどのカットをとってみても、魅力的なサムネイルカットとして見えるように、どのカットも無駄なく“いい絵”となるように、絵コンテの段階から計画していきました。
山口:
制作する前から完成まで、映像制作する人のイメージ通りの作品が描けるかがすごく不安でしたね。今回は途中経過の絵を求められていたので、途中経過な絵でも具体的なイメージがわかるように制作するように心がけました。
実際には作品の進行加減が難しく、同じ1時間でも筆が進むときもあれば進まないときもあるので、前日に完成していなかった絵が翌朝の時点でかなり進んじゃってて、橘監督から慌ててストップがかかりました(笑)
絵のイメージはテーマが「希望」だったので、私が描く希望のイメージで、色味が鮮やかなところもありつつ、主人公が抱えている不安を表現したかったんです。明るいところを際立たせるには暗い部分を入れたり、同じブルーでも暖色系のブルーと寒色系のブルーを意識的に使い分けたりして表現しました。
橘:
若者の希望だったりを“抽象的”に表現してほしいと山口さんにはお願いしたんです。空なり川なりより抽象的に。確かに、最初僕がアトリエにいたときは山口さん最初筆が進んでないなー悩んでるなーと思った(笑) 僕も1時間でどのくらい進むものなのか分からないので、こんなもんかなと思って次の日また来てみたら、めっちゃ進んでるやん!って(笑)
実際には、あまり描かずに途中までのものを計画してたんだけど、見ていると素晴らしいのでもっと映像で見せたいなと思ってしまって…当初の方針よりかなり完成に近い絵になってしまいました。
山口:
そうですね、最初は構成をほんとに色々悩みました。
写真を専攻している友達に、夕日の写真とかをいろいろ送ってもらって、何度も構成を考え直したり、川とかもどうやって抽象的に表現するかとか。でも一旦決まるとその後は一気に行けたって感じです。
ー今のニッポンの若者とは?お二人のご意見や想いをきかせてください。
橘:
難しいですね(笑)
そもそも今回若者がテーマということで、この機会に僕自身も考えてみたんです。現代って若者が求めているもの、好きなものはもうそこら中にあって、飽和している状態だと思うんです。その中で個人個人が何を選ぶのかも違いがあって。
一概に若者といっても、簡単にわかりやすくは切り抜けないんじゃないかなって。今回のキャストも10代、20代と年齢が別れていて、あとウチの会社もどんどん若い人も新入社員も増えてくるし。結構みんな違いますよ、ちょっと年代が変わるだけで。
一方でそんな中でも人が共通で感じる部分は結構一緒なんじゃないかなって。
動画の中のメッセージである、『承認欲求』という部分があるんですが、認められたい、気にかけてほしいとか。こういうのって、時代や世代に関わらず普遍的なんだなと改めて思ったんですよね。
だから今の若い人でもやっぱり『承認欲求』はキーワードじゃないかな。
実は、今回の画家として出演したキャストの中島ももさん。
撮影で泣く芝居があったんですが、なかなかうまく泣けなくて。
あとで二人で話をしたんだけど、彼女はとても悔しかったみたいで、すごい落ち込んでしまって。ちょっと心配になってちゃって、今後演じる事が嫌になっちゃうんじゃないかなって。
女優っていう仕事は楽じゃないからね、なんて話をしてなぐさめながらも、何故俳優の仕事しているの?って聞いたんです。
そしたら帰ってきた答えが、“自分がいまやりたいことだから”って。シンプルだけどとても若さのパワーが溢れる感じの反応が帰ってきたんですよねー。
なんか理屈じゃないというか、ああだこうだじゃなく”好き”のパワーを感じた。若い人ってそういうエネルギーが溢れてるんだろうなって。
山口:
ほんと今の時代って、インターネットとかのお陰もあって、どこででも何でもできる時代だなあと感じます。実は2年前に大学入学した時に、ちょうどコロナでいろいろ制限されてしまって。。学校とかいろいろ選択肢を限られてしまったんです。できること限られていた。
でもその分、自分で精一杯さがそうと思ったんです。
実は最初は東京に行きたかったけど、結局福岡でも佐賀でもできることを環境のせいにしないで行動を起こすことが重要なんじゃないかなって思って。インターネットもあるし福岡でも佐賀でも関係ないかなと。
実際に活動していくと、ほんとうに周りから評価してくれたんです。昔は東京とか場所に拘っていたんですけど、実際には福岡九州にいてよかったです充実していて笑
ー お二人がこれから作品を通して表現していきたいことを教えて下さい。
橘:
映像を作るのはやっぱり楽しいですね。普段は主にTVCMを作ることが多いので、求められることに寄り添い作っていくことが多いのですが、それとともに社会や世界がよくなるような、社会的なテーマを題材とした作品も作っていきたいですね。
最近思うのは、映像の素晴らしさは人に感動を与えたり、人の行動や心を動かすことができるという部分なので、自分の作った映像で社会が少しでも良くなるといいなと思ってます。なので映像を制作するにあたっていろんな人に会ったり、話を聴いたりする機会を増やして、どうやったら人の心に響くものを作れるかなって日々探し続けてますね。
また、映像にこだわらなくてもいいかなと思っているので、もっといろんなことに挑戦したいと思ってます。もっと既存にない色んなカタチのエンタメを作って、九州ってこんなにおもしろいんだぞっていうコンテンツを生み出せたらと思います。
PLEIADES も今回関わることができて、既存にはない新しいカタチとして社会に広がると面白いなと思うし、是非ヒットして売れて欲しいなと願ってます。
山口:
実はここ半年間くらい絵をかくことがとても苦痛だったんですが、今回の作品を描いていると、いろんな人に見てもらったりしながら作品づくりできることにとても喜びを感じました。関係者の皆さま色んな方がちょくちょく見に来られたりして。こうやって見てもらいながら絵を書くのが凄く楽しいなって笑
以前までは作品を描くときには孤独で書くものだと思っていたのですが、ああ見てもらえるってとてもいいなって、元気になれたし今回を通して改めて純粋に絵が好きだと確認しました。
これからも自分の作品を通して、私の絵を見た人が元気になれるような、人に力を与えられるようになりたいです。不安とか葛藤とかそういうものをもっと表現したい、自分のパワーを全て絵に乗せていきたいですね。これからも頑張ります!
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今回二人の若い表現者と、多くの制作スタッフにより創り上げられ PLEIADES プロモーションムービー。
今回登場した、俳優、女優にもハードな撮影スケジュールの合間にインタビューで得られた彼ら彼女らの話にも、共通して「ただ好きなことを」という気持ちを感じることができた。
橘監督の話にもあるが、そもそも今どきの若者、とくくる事も無意味だし、若い人は放っておいてもエネルギーがほとばしってひとりで走っていくもの。逆に大人側が、縛り付けたり上から目線は論外だが、気にかけすぎたり構いすぎたりせず、少し離れて暖かく見守っていれば良いのかもしれない。
またたく希望に、エールをおくろう。
是非、このムービーを視聴される皆さまも若い希望にエールを送りながら観ていただきたい。