銀ソーダさん

『時を紡ぐ』と『PLEIADES』の出逢い

アーティスト 銀ソーダさん

2023.08.31

夢へ向かって挑戦を続ける、全ての人々を応援する飲料ブランド『PLEIADES(プレアデス)』前回の田中千智さんに続き、アートの分野で福岡を拠点に活動されている、銀ソーダさんにお話を伺いました。作品の特徴であるGinsoda Blue(銀ソーダブルー)のモチーフが誕生するまで、そして現在の活動内容と今後の目標について、お忙しい中たくさん語っていただきました。

ぜひ最後までご覧ください。

==========================================

◆今回のボトルに描かれている『時を紡ぐ』という作品について教えてください

 作品全体の世界観にも通ずるところですが、私は『記憶と時間の可視化』をテーマに制作しており、今回の作品も形のない人の内側に存在する記憶の海を描いています。栄養という目に見えない存在が私たちに深く関わっているように、記憶も私たちに深く関わり、私たちを作り出している存在だと思っています。その目に見えない存在を、青い絵具の重なりで可視化させているのが『時を紡ぐ』です。

 頭の中のものと、実態の形としてアウトプットしたものには理想と現実というギャップが存在します。現実を俯瞰することで見えてくる気付きは、自己と向き合う上で大切なことです。

 今回は直接口にする飲料に携わることができたので、視覚だけでなく、味覚や嗅覚、炭酸ということで聴覚の五感で楽しめるものになったのではないかと思います。記憶というものは常に誰かと共有しているものだと考えているので、このボトルを手に取った人の記憶とどのような化学変化が起こるのかを楽しみにしています。

◆抽象画との出会い

 子どものころから絵を描くことが好きで、小さいころから絵を描いて生きていたいと思っていましたが、昔から抽象画を描いていたわけではありませんでした。大学生の頃、自分の作風に関して悩んでいるとき、ある抽象画家の先輩と出会いました。その先輩は墨を使った抽象画を制作しており、黒の中で色彩豊かな表現がされていたことに驚きました。そこで、沢山の色を使用することだけが豊かとは限らないと気がつきました。私は楽しそうに絵を描いている先輩に質問をしました。

『なにを描いているんですか?』

するとその先輩は、

『なんでもない』

そう答えました。そしてこう続けました。

『なんでもないけど、描き続けていたらなにかになる』と。

 これまで最初から何かしらの意味を持たせようとしていた私にとって、とても衝撃的な言葉でした。でも、なにかが切り開けるような気がして、見よう見まねで抽象画を描き始めました。

 

◆Ginsoda Blue(銀ソーダブルー)に関して

 銀ソーダブルーにたどり着いたきっかけは、元々青が好きだったこともありますが、青という色には色々な表情があると思ったことが大きな理由です。空や海は身近にある青ですが、決して青い壁がそこにあるわけではありません。空気の層や光の反射など、様々な要素が重なって青を織りなしています。そしてその青い空の向こう側には遥かな宇宙が広がっています。海はその空を映し出して青く見え、その向こう側には深海が存在しています。つまり、青という色には向こう側があり、物事の通過点に存在する希望にも変えられる可能性の色だと気がつきました。

 私もキャンバスの向こう側を描きたい。だからこそ、青い絵具を重ねることで向こう側を表現し、人の内側に存在するであろう記憶の海を描いています。人生で重ねていくものは人それぞれ異なりますが、想像をひろげてくれる青の存在が作品と鑑賞者を繋げてくれるのではないかと考えています。

 

 

◆過去の挫折を乗り越えて

 子どもの頃から絵を描くことが好きで画家という夢を持っていましたが、選択肢をひろげるためと自分に言い聞かせ、高校は芸術系ではなく普通科の進学校に進みました。美術の授業もなく、人間関係でも悩んだ生活を送り、『自分はなにをしているんだろう』と思う日々…。大学受験が迫るにつれその悩みは深刻化し、生きている意味を見出せず体調を崩すまでになってしまいました。毎日不満ばかりを家族に吐き出していました。

 そんなある日、いつもは気丈な母から、『私はあなたを産んで幸せだったけど、辛い思いをしているのなら産んでしまってごめんね…』と泣きながら言われたとき、私はハッとさせられました。これまで、シングルマザーの母に負担をかけたくないと考えて生きてきたつもりが、逆に母を悲しませてしまっていたのです。選択肢をひろげたところで、自分のやりたいことをやらないと生き甲斐もなく暗くなるだけで、逆に母を悲しませてしまう。

 まずは目の前の母に喜んでもらいたくて、自分の大好きな絵を描くことをもう一度はじめようと思い、そこから芸術系の大学である九州産業大学の芸術学部デザイン学科(現・ビジュアルデザイン学科)へと進学することを選択しました。

 

◆銭湯を活動の拠点にするアーティスト

 現在は箱崎にある廃業した銭湯、『大學湯』を拠点に創作活動を行っております。この大學湯は私の地元にあり、実際に親子三代で銭湯に通った思い出の地でもあります。

 廃業後に銭湯の空間をそのままの形で残すことになった際、創業者のお孫さんである石田さんと出会う機会があり、修繕工事が始まるまでの期間をアトリエとして使用させていただくことになりました。現在では工事が終了し、コミュニティ・レンタルスペースとして活用されている『大學湯』ですが、私は引き続き管理をしていく立場も加わりながら、ここで創作活動をしています。

 ただのアーティストではなく、大學湯の存在によって社会との繋がりができたような気がします。少しずつできることも増え創造の可能性を実感しています。銭湯は元々コミュニティスペースであり、どんな立場の人も裸になります。着飾ることなく素直な気持ちになれることから、創作活動をする場所として、精神的にとても相性が良いと感じています。残念ながらお湯は出ませんが、『創造の湯』が沸き出る場所として、体ではなく、心を洗う場として活用していきたいと考えています。

 

 

◆今後の目標

 自分の集大成を残すため、自分の美術館を福岡に、できれば箱崎の地に作りたいです。これが一番大きな目標です。生きている間にどれだけ作品的価値を高めることができるのかはわかりませんが、自分の作品の世界観を空間で残したいと思いました。

 また、その目標に向けて挑戦したいことは、『Ginsoda Blue(銀ソーダブルー)』という色を残すことです。自分の中の青を探し続けています。最終的に、青を使わずに青を表現することができたら面白いなとも思います。

 

 

◆夢へ向かって挑戦する全ての人にメッセージ

『楽しんでください』この一言に尽きます。

 楽しむは喜怒哀楽全て含んでおり、実はとても深い言葉だと思っています。自分で選んだやりたいことでも、辛いことや壁にぶち当たることがある。その時、その壁を乗り越えられるかどうかは、苦悩も含めて楽しめているかどうかだと思います。また、自分を信じるという根拠のない自信も大事だと思います。行動を起こした後にしか結果はわからないので、目の前のことを全力で楽しんでください!その過程で沢山の気付きがあるかと思います。

========================================== 

プロフィール 銀ソーダ(ぎんそーだ)

1995年、福岡県生まれ。九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業。「記憶と時間の可視化」をテーマに、青を基調とした抽象画や空間芸術作品を制作し国内外で発表。現在は福岡市東区箱崎の銭湯跡地「大學湯」を拠点とし、保存利活用プロジェクトのメンバーとしても活動している。

 ==========================================

PLEIADES SODA「時を紡ぐ」

数量限定の販売となります。

ご購入はこちら